気象予報士へのご依頼
Request to a weather forecaster赤城乳業株式会社と株式会社ウェザーマップは、両社のコラボレーションで夏季限定・氷菓「ガリガリ君」のお天気サイト「ガリ天」をオープンしています。(プレスリリース)
「ガリ天」は2006年の開始以来、2025年で20年目を迎えました。ここでは、「ガリ天」がどのように始まったのか、開発担当気象予報士・江花純による当時の開発秘話コラム全5回をお届けします。
それは25年ほど前のある夏の日の出来事。
その日もおそらく30℃を大幅に上回っていたのでしょう。アスファルトからの照り返しに加え、ビル壁面からの照り返しもあって、体感温度は軽く40℃を超えていたと思います。
無風のビル街でこの暑さを回避するには、冷房の効いた建物に入るしかありません。照り返しに負けた私は、冷房の効いたビル(公共施設)に入って、ボーっと外を見ながら一休みしていました。
ちょうどその時です。私の目に飛び込んできた光景…。
半袖ワイシャツにネクタイ姿のおじさんサラリーマンが、水色の棒アイスにかぶりついているではないか!
(イメージ)
あれは間違いなく「ガリガリ君」だ!
その姿がね、すごーく堂々としていたのよ。
ガリガリ君には以前からお世話になっていたのですが、外で歩きながら食べるのは、子供っぽく見えるようで何となく恥ずかしく、専ら会社の中で食べていたわけです。ところが、このおじさんの食べっぷりを見て私は「負けた…。」と思いました。汗を拭き拭きかじりつくおやじの、満足げな表情に逆に感動を覚えたのです。
数日後、今度は若い女性の「外ガリ」を目撃するに至って、考えが改まったのです。
そうなんだ、ガリガリ君に年齢や性別は関係ないんだ。暑い時は周りの目なんか気にせず、かぶりつけばいいのだ!
それからというもの、暑ガリ体質も手伝って、夏場を中心にみんなにガリガリ君を勧めるようになりました。社内の強烈な冷房に震える女性たちを横目に、多い時は1日に5本ぐらいは平気で食べるようになりました。
そんな私を見ていつの日からか、あきれかえった様子の女性社員から
「江花さん、きょうは何ガリですか?(笑)」と聞かれるようになりました。
それに対して「これで3ガリ目」「4ガリ」とか答えていたのです。
今から20年ほど前のその頃は、あまり冬場は食べていなかったと思います。そんなこともあって、社内では私がガリガリ君を食べ始める時期が一種の季節現象ととらえられるようになったのです。
気象庁では「生物季節観測」と言って、季節の指標となる動物や植物を観測しています。今では、サクラの開花やカエデの紅葉など植物だけの観測となってしまいましたが、季節現象は社内でもよく話題になるのです。
ウェザーマップでは冗談半分に私がガリガリする日が観測されています。春先、それもまだみんながコートを着て出社する時期、気温が上がってくるとガリガリしたくなるのです。当時は確か2月中でした。
2006年2月、会社がブログを始めたとき、「ガリ2指数(がりがりしすう)」を載せたのがきっかけで、社内でも「本当にできたらいいねぇ、ガリガリ指数。」という話がでるようになっていました。
ガリ天のもとになった「きょうのガリガリ指数」アイコンはガリガリ君の写真
ガリガリ君は会社の冷凍庫に常にストックしています。しかし、それを仕事にしようという積極的な考えもないまま、2006年に突入したのです。
あれは3月のある日のこと、若手男性社員が「25周年」「ガリガリ部創設」の情報をゲットしてきたのです。俄に興味をかき立てられ、赤城乳業のホームページを見てみることにしました。
ブログでは勝手に「ガリガリ指数」なるものを載せておいて、先方のホームページを見るのはこれが初めて。失礼きわまりないのですが、遅ればせながら、ホームページを訪れてみた。本社が埼玉県の深谷市にあることもこのとき知った。(赤城っていうから群馬だと思った…)
「そうかぁ、25周年なんだ。」
ガリ部創設というこの記念すべき年に、ガリ指数を提案しない手はない!そう思った私は、大した考えもないまま即電話。
しどろもどろに、「25周年ということで…。何か…気象情報とからめて…、一度お話を…」
要領を得ない話にも先方のご担当(後にわかったが、この人こそガリ部キャプテンだったのだ!)は嫌な顔せず(電話の向こうだから不明)対応してくださり、とにかくお会いできるチャンスを得たのです!
熱意だけは誰にも負けません。
じつは長いガリ歴の中で、わたしがコレクションしているものがあります。はじめてご担当のH氏にお会いした時、私はこのコレクションを持っていったのです。
「アタリ棒25本」 3年前から集めた自慢のコレクションだ。
一説によると、当たる確率は50本に1本と言うから、私がどれだけ食べたか想像がつくだろう。本当はもう少しあったのですが、数本は会社の人にせがまれて、仕方なくあげてしまったのです。
H氏にそのアタリ棒を見せると、とても喜んで?くれたのです! やったー、ウケたウケた!
一体何のためにお越しいただいたのか、先方も「こいつおかしいんじゃないの?」と思ったかもしれません。
しかしガリ指数構想をお話しすると、興味を持っていただけたのです。ウェザーマップ女性キャスターをマネージャーとして、概況をコメントし、天気マークに代わって「ガリガリ指数」を表示しようという提案だったのです。携帯の「ガリガリ部」のサイトにリンクできたらすばらしい!
ガリガリ君のトップシーズンはすぐそこまで来ている! せっかく興味を持っていただいたのにロジックの開発はこれからだった。
しかし、体感温度というのは非常に難しい。一番馴染み深いのは「不快指数」でしょうか。最近はほとんど耳にしなくなりましたが、これも欧米人と日本人によっても違いますし、当然男女で違う。個人差もある。
気温、湿度、風速、日射や輻射など、体感温度を決定する要素も色々あるし、前日比が重要な場合もあって曖昧だ。だけど、何か効果的に表す指数があるのはいいことだと思う。
自分は「1ガリ」のときにはすでにかなり暑く感じるとか、「2ガリ」でも暑くないとか、自分に合わせて利用してもらえればいい。今回は某論文に載っていた計算式を使ってベースとなる指数を算出した。地域差も考慮して、ついに完成したのです。
当時の「ガリガリ指数」 1本も食べない”0ガリ”もあった
本当は5ガリまで設定するはずでしたが、「そんなに食べたらからだ壊します!」と言われ、あっさり却下されてしまった。しかしついに完成した。
夏でも肌寒い日はある!「0ガリ」も加えよう。赤城乳業様のご理解が得られ、ついに4段階の指数が完成したのだ。
「やったどぉー!」
こうして、2006年夏、ガリガリ君の天気予報「ガリ天」がスタートしました。
当初は、江花気象予報士のガリガリ君愛から生まれた「ガリガリ指数」というアイデアが、「ガリガリ君25周年」という好機に恵まれ、気象予報士ふんする「お天気マネージャー」による暑さ対策コメントや最高気温ランキング、公式XやInstagramでの情報発信など、多角的なコンテンツを展開しています。
初年度、遊び心で作った「0ガリ(この気温なら食べなくても大丈夫)」のランクの設定は、現在はなく、近年の夏の猛暑傾向を見越して作った ”箱のガリガリ君(マルチパック)”を、「箱ガリ」として最上ランクを追加しています。
現在のガリ指数。「箱ガリ」が出たらみんなで熱中症対策を!
また、赤城乳業様からのご提案を受け、2週間先までの予測「2週間ガリ指数」を開発。暑さの傾向をつかみやすいとご好評をいただいています。
また、ガリ天公式Xでは、危険な暑さに達した地点に対し「記録的短時間ガリガリ君情報(記録的な暑さになっているからすぐにガリガリ君でクールダウンして!)」も発信しています。開発当時、今年はもしかしたら一度も発表されないかな…と思ってしきい値を設定しましたが、近年は記録続出となっています。危険な暑さの対策にぜひチェックしてください。
さらに、全国の梅雨明けと連動して北上する”ガリ前線”に伴うキャンペーンを赤城乳業さまとの共同企画として、お届けしています。
「ガリ天」がスタートして20年。この間に、日本の夏は3年連続で平均気温が過去最高を更新するなど、気候は大きく変化しました。「ガリ天」が皆様の暑さ対策と、そして、夏の楽しい気持ちを盛り上げるコンテンツとしてお役に立てたら幸いです。
「ガリ天 2025」https://gariten.weathermap.jp/
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